GFSホテルファンドHOPE被害対策弁護団
           

 










 現在,「HOPEシリーズ」に出資している投資家から被害回復等の手続をとることに関する問い合わせが多数寄せられており,当職らは,集団的に損害賠償請求等の被害回復手続を受任して追行する弁護団を組織することとしたので,本事案に対する考え方の概要,受任する範囲等について説明する。
 なお,本書面は,不特定多数者,特にGFS関係者らも閲覧可能であることから,当弁護団の今後の戦略に関わるような詳細を記述することは出来ない。本書面は確定方針を定めたものではなく,今後の調査や状況の変化によって随時変更される可能性がある。


第1 事案の概要

1 はじめに

 本件は,レジャーホテルへの出資をすればほぼ確実に最高年利8.4%(匿名組合契約によっては12%)もの高率の配当が得られると喧伝し,HOPEシリーズ(HOPE○○という名称がつく。)と称する匿名組合への出資名下に資金集めが行われたという事案である。

2 主な当事者
 本件の主な当事者の役割分担を概観すると,匿名組合を組成し,出資者からの資金集めを行っていたのは,営業者の営業代理人であるというグローバル・ファイナンシャル・サポート株式会社(以下,「GFS」)であり,匿名組合の営業者はその都度設立される合同会社または有限会社であり(一例として「HOPEラスト優先出資匿名組合」の場合には合同会社ホープラスト),実際のレジャーホテル運営はGFSの子会社であるという株式会社コムエイが行うことになっている。

3 現在の状況
 GFSが販売したHOPEシリーズのうち,「HOPEラスト優先出資匿名組合」について,平成22年8月31日に運用期間が満了しているところ,同年10月31日に償還が予定されている金額が1口(50万円)につきわずか8万24円となることが,GFSから出資者に対して伝えられており(なお,実際の競落代金を見ると償還金額は右金額にも満たない可能性があるとも思われる。),また,「HOPEシリーズ」のうち運用期間が満了していない「HOPEアルファ7優先出資匿名組合」,「HOPEアルファ8優先出資匿名組合」,「HOPEアルファ9優先出資匿名組合」及び「HOPEアルファ10優先出資匿名組合」(以下,まとめて「HOPEアルファ7ないし10」という。)について,出資者がGFSに地位の譲渡(GFSがいうところの「中途解約」)を申し出ても受け付けられない状況となっている。また,GFSと密接な関係を有するイニシア・スター証券株式会社が平成22年4月19日付で業務停止の行政処分を課されていること及びその内容も,HOPEシリーズの資金管理・ファンドの運営に不信感を募らせるものとなっている。


第2 「HOPEラスト優先出資匿名組合」の問題点に関する当弁護団の見解

1 「HOPEラスト優先出資匿名組合」の概要
 「HOPEラスト優先出資匿名組合」は,平成19年6月19日に募集を開始し,平成19年9月1日から平成22年8月31日までの3年間,年 利(各会計年度(第1期〜第3期)毎に)最高8.4%という利回りを喧伝し,1口50万円で7200口,合計36億円の出資を一般投資家から集め,GFSが4億円を出資し,10億円を金融機関から借り入れることにより総額50億円のファンドを構成するというものである(GFSが発行した隔月の運用レポート上ではHOPEラストの優先出資額は41億円,総額55億6000万円と記載されている。)。3年間の運用期間満了後には,営業者は,「HOPEラスト優先出資匿名組合」の対象となっているレジャーホテルをGFS等が組成する他のファンドに売却するか,あるいは,市場で買い手を探して売却し,売却で得た資金を出資者への出資金償還のための原資とするとされていた。
 会計年度の第1期は平成19年9月1日から平成20年8月31日まで,第2期は平成20年9月1日から平成21年8月31日まで,第3期は平成21年9月1日から平成22年8月31日までとなっており,各会計年度終了後から2か月以内に配当されることとなっている。第1期,第2期については,年8.4%の割合により配当されている。

2 「HOPEラスト優先出資匿名組合」の破綻
 しかしながら,第3期については,本年8月,営業代理人であるGFSから一般投資家らに対し,「『HOPEラスト』匿名組合償還に関する重要なお知らせ」と題する文書が送付されている。同文書では,不動産投資市場の失速を理由として,「HOPEラスト優先出資匿名組合」の対象となっているレジャーホテルの鑑定評価額が16億8120万円にとどまり,同金額から金融機関への返済予定額9億7500万円,不動産売買仲介手数料5000万円を控除した残額は,わずか6億5620万円であり,1口50万円の出資に対する償還金額は8万24円に留まり,GFSとしては,「HOPEラスト優先出資匿名組合」の運用期間を延長することにより,市場の回復を待ってから資産の売却を行い出資金の償還を行うことを考えているが,本年10月31日に1口50万円の出資に対し8万24円の償還を受けることも可能であるとの説明がされており,そのいずれかを本年9月24日までに選択することを出資者に求めていた。
 この点,不動産価格が変動するものであることは常識に属する事柄ではあるけれども,50億円を費やして取得(改装等を含む)した不動産の価額がわずか3年の間に16億8120万円にまで下落するような不動産価格の大暴落があったとは,市況その他に照らして極めて強い疑問があるというほかない。また,リーマンショックなどを経ているとはいえ,第1期(平成19年9月1日から平成20年8月31日まで),第2期(平成20年9月1日から平成21年8月31日まで)について8.4%の配当がなされており,これだけ高率の配当をなしうるだけの収益があげられている以上,対象となるホテル物件が将来生み出すであろうと期待される収益の総和としての収益価格を求める方法,すなわち,収益還元法で計算されるホテル物件の資産価値の評価がわずか3年の間に16億8120万円にまで下落するようなことは考えられない。
 しかも,第3期(平成21年9月1日から平成22年8月31日まで)の期間について,GFSから2か月ごとに送付されていた「HOPEシリーズ運用レポート」と題する運用報告書によれば,予想される運用利回りは,平成21年10月のレポートによれば年間運用利回り(予定)13.04%・9月運用利回り12.78%,平成21年12月のレポートによれば年間運用利回り(予定)13.02%・10月運用利回り12.66%,平成22年2月のレポートによれば年間運用利回り(予定)13.00%・12月運用利回りは13.07%・1月運用利回りは11.29%,平成22年4月のレポートによれば年間運用利回り(予定)13.01%・2月運用利回り10.83%・3月運用利回り17.12%・平成22年6月のレポートによれば年間運用利回り(予定)13.49%・4月運用利回り12.20%・5月運用利回り14.58%となっており,収益状況は好調であると報告されていたのであるし,また,別段,不動産市況の冷え込み,失速に関する報告等は一切なく,上記のような急激な不動産価格の下落を合理的に基礎付ける事情は見当たらない。

3 違法性
 営業者は,匿名組合契約に基づき,出資者に対して善管注意義務を負う。
また,金融商品の勧誘をして販売する者は,投資者が,投資しようとす
る金融商品の内容や仕組みや運用の方法,リスクなどについて十分な情報 を得た上でないと適切な投資判断を行うことはできないから,投資者の投資判断を誤らせないよう,投資者に対して投資内容を十分理解し自己責任において投資判断をするための情報や資料を積極的に提供し,投資者の知識,能力,経験等に応じて,投資者が理解できる程度に説明すべき信義則上の義務を負う。
 ところが,GFSは,HOPEラストの営業代理人とHOPEアルファの営業代理人を兼ねており,各ファンド間でホテル物件の売買を行っている。このことは,ホテル物件をより安価に購入したい前者の出資者とホテル物件をより高価に売却したい後者の出資者の双方の利益のために行為するという矛盾した義務を負担することとなることを意味し,構造的に善管注意義務違反を生じさせる基礎となり得る。上記のような償還予定金額の不自然な少なさは,このような利害対立状況を悪用して著しく不適切な態様でホテル物件の取得・管理を行っていたことを強くうかがわせる。
 また,このような利害対立状況は,出資者の出資判断を左右する重要な事項であるから,これをその具体的意味(割高でホテル物件が取得されるリスクを高めることとなる。また,GFSは,先に運用期間の満了を迎える匿名組合契約の対象となっているホテル物件の売却価格を調整することにより,その損失を後に運用期間の満了を迎える匿名組合に「先送り」することも容易に可能である。)が理解される程度に説明が尽くされるべきであったのに,当弁護団が事情を聴取した限り,そのような説明をされた出資者はいない。
 また,GFSは,HOPEシリーズの勧誘に当たって,8.4%の高率の配当を得ることができるという部分を過度に強調する利益強調型の勧誘を行う反面,不動産ファンドの最大の難所であるといって良い「出口」については,そのリスク・困難を出資者に意識させないような記載に終始している。さらに,劣後出資の存在は営業代理人自らがリスクを負担するとまでいうのであるから不動産の不当な高値での購入をしないだろうとか,不動産価格の下落リスクがないとの専門家としての判断をしているのだろうなどとの信頼を生じさせる記載をしながら,真実は,劣後出資にも一般投資家の資金が相当程度組み入れられていたようであり,この点についても説明義務違反がある。そして,このような説明義務の不履行の常態化は,GFSが「紹介パートナー」(知人等を誘って出資させれば出資総額の2.5%から5%もの非常に高額な手数料収入を得られるというインセンティヴをもって勧誘を行わせるというもの。)なる勧誘システムさえ用いていたこと(素人が勧誘するときには適切なリスク説明等がなされない類型的危険があるのにこれを放任していたということになる。)にも表われている。


第3 「HOPEアルファ7ないし10」について

1 現在の状況
 「HOPEアルファ7ないし10」については,未だに償還期限は到来していないが,同じくGFSが募集している「HOPEラスト優先出資匿名組合」が実質的に破綻していること,異なる営業者間で連帯債務を負うような契約が締結されていることがうかがわれたり,対象となっているホテル物件について他の匿名組合契約の共同担保に供されていることもあることなどGFSの資産管理に対する姿勢が極めて背任的かつ不誠実であるという事実が判明していること,また「HOPEアルファ7ないし10」について,出資者のGFSに対する地位の譲渡(GFSがいうところの中途解約)の受付がGFSの経済的事情を理由として一方的に停止されていることから,いずれ運用期間を満了しても著しく低額の償還しかなされない可能性があるのではないかとの相談が多く寄せられ,早期に償還手続をした上で損害賠償請求を行いたいとの意向が多く寄せられている。

2 解約・解除,譲渡請求
 匿名組合契約書では,正当な理由がない限り,GFSは地位の譲渡(GFSのいうところの「中途解約」)を承諾すると定めているところ(第10条1項,2項),本件では正当な理由が存するか否かが具体的に説明されていない。そもそもパンフレット等の勧誘時説明書面等では運用開始後1年を経過すれば「中途解約」ができるものと記載されているのであって,これを一方的に受け付けないこととすることは許されないものというべきである。
 仮にそうとまではいえないとしても,GFSは勧誘に当たって上記「中途解約」を謳い文句として強調していたのであるから,匿名組合契約書第10条2項記載の「正当な理由なき場合」は相当に限定して解釈されるべきであり,現状で「正当な理由」が示されているということはできないから,匿名組合契約に基づく地位の譲渡は承諾されるべきものであると考えられる。また,上記に述べたような事情からすれば,少なくとも,安心して資金をファンドに預けておける状態でなくなったことは明らかであり(同じくGFSが募集している「HOPEラスト優先出資匿名組合」が実質的に破綻していること,異なる営業者間で連帯債務を負うような契約が締結されていることがうかがわれたり,対象となっているホテル物件について他の匿名組合契約の共同担保に供されていることもあることなどGFSの資産管理に対する姿勢が極めて背任的かつ不誠実であるという事実が判明している。GFSが勧誘販売しているファンドとはいえ,各ファンドは独立採算により運営されることが前提とされているものであり,このように別ファンドに担保を提供する行為は,出資者の犠牲において他のファンドの利益を図ろうとする行為であって善管注意義務に反する。),その責もGFSの側に存在するのであるから,出資者と営業者・営業代理人との間の信頼関係は破壊されており,商法第540条第2項の「やむを得ない事由」があるといえ,同条に基づいて,各匿名組合契約を解除することも可能であると考えられる。
 その上で,出資金が不当に毀損されている場合には,HOPEラストと同様の違法性の存否等を調査して損害賠償請求等を検討することとなる。


第4 当弁護団の受任範囲等について

1 はじめに

 当弁護団は,(HOPEアルファについては解約・償還請求等を経て)匿名組合の営業者や営業代理人である会社及びこれらの役員・幹部構成員らに対して損害賠償請求の訴訟を提起するなどし,最終的には会社及び関係者らに対して破産の申立等をも検討することによって被害回復を図ることを予定している。
 被害者の中には,いくつかの類型がある。そのうち,当弁護団が委任を受ける部分と受けない部分があり,被害回復の優劣を付けるのが公平であると考えられるものがある。

2 当弁護団が受任する被害者
 当弁護団は,HOPEラストの優先出資者,HOPEアルファの優先出資者を対象とする。NEO HOPEの出資者に対しては一定の割合での(実質的)償還をする意向であるようにも聞いているから含まないこととし,ラスト及びアルファの劣後出資者は優先出資者との公平の観点及び被害回復可能性の観点から含まない。
 被害者間で基本的に優劣は付けないが,すでに譲渡承認書を得ている者は違法性の有無にかかわらずGFSに対して訴訟を提起するなどすることによって(すでに訴訟を提起している事案がある),早期に被害回復を受けうる可能性があり,その場合(GFSに対する譲渡代金請求訴訟及びその強制執行等のみによって被害が回復できた場合)には,他の被害者とは異なる状況にあるのであって,優先的に被害回復を受けるものとする。また,HOPEアルファの各合同会社に明らかに固有の事情があって,その固有の事情が他の被害者の出資金とは無関係に生じたものであると当弁護団が評価する場合には,HOPEアルファの各シリーズで被害回復の割合を異ならせることがある。

3 損害額
 まず,「契約」通りの「出資金及び配当金」の支払を期待することは,「認識が甘い」ということを自覚する必要がある。「出資した金額」から,(配当・紹介手数料等として現実に金銭として)「受領した金額」を控除した金額については,上記のとおり違法な商法によって生じた「損害」であると見ることができ,これをさまざまな態様で共同して行っていた関係者らに対して共同不法行為に基づく損害賠償請求等が可能であると考えられるが,同人らの資産等によって,現実の被害回復は著しく左右されることになる。
 「出資金額全額」が一応の損害であり,「配当」等名目で支払われた金銭は損害賠償請求に当たって控除されるべきでないとも考え得るが(最判平成20年6月24日),会社について破産手続が開始したときや他の被害者から請求がなされたときには「利益」を得ている部分については返還しなければならないことになることも考えられるし,なにより,「利益」部分は他の被害者の痛みの上に存在しうるものであるから,当弁護団は出資金額から配当金額等を除いた実損害金額が賠償されれば十分に満足するべきであると考えている。

4 手続の選択
 償還時期が異なる被害者があるため,一定程度集団的な対応をせざるを得ない。被害回復の程度は,より多いに越したことはないが,この種商法の常として,現実の被害回復が困難となる例が多くある。訴訟等で勝訴したとしても,結局1円も回復できない可能性もある。訴訟前ないし訴訟上の和解をするときには,今後の手続の過程で顕れるであろう諸般の事情を考慮して,実損害金額(交付金額)との割合で解決のラインを決定することになる。
 なお,被害者の中には,交付金額以上に深刻な精神的苦痛等を受けている者も相当数あると思われるが,出資商法被害について裁判例は,決して被害者に寛大ではなく,過失相殺として被害者の落ち度を認定して賠償金額を減額する傾向があること,集団的,画一的な手続の進め方によって,少しでも早期に解決を図りたいことなどから,慰謝料請求をすることはしない。
 いつどのような手続を行うかの選択,和解をするか否か,するとしてその時期,金額等については,当弁護団が正当であると思うものを選択する。多数の被害者で集団的に手続を採る場合に,相手方が個別の和解に応じることは考えにくく,一律に手続を進めることになると思われる。

5 受任手続
 当職らが受任するときには,着手金は「損害」(交付金額から受領金額を控除した金額)の5.25%+3万円(税込み),報酬は現実に返ってきた金額の15.75%(税込み)とする。追加の実費であるとか費用を徴収することはない。ただし,現実に費消した実費は,現実の被害回復を得たときにはそこから控除することとする(例えば,印紙代や不動産鑑定費用などの実際に費消した費用はその都度請求することはしないし,現実の返金ないし賠償が得られていない場合には事後に請求されることもないが,現実に返金ないし賠償が得られた場合にはそこから被害者への送金額を按分計算する前に控除する。)。
 着手金は,1円も返ってこなくても支払わなければならない金額である。手続途中で弁護士を解任することはできるが,着手金相当額は返還されず,時期によっては報酬相当額の支払義務が生じる。

6 その他の注意事項

 訴訟等のために個別に事情を聞く必要が生じうるし,関係資料の提供や有益であると考えられる情報の提供は積極的にお願いしたい。被害者になるべく負担の少ない方法を考えるが,全てを「人任せ」にしたいというのは望ましい依頼者のあり方ではない。
 当弁護団に委任して被害回復手続を採りたいと考える場合には,本書面をよく読んだうえ,別紙のとおりの関係書類を当弁護団事務局宛送付されたい。家族等に内緒にされている場合には,法律事務所の名称の入っていない封筒を用いるなどの配慮をするが,そもそも民事訴訟手続は公開の手続でもあるから,依頼していることが絶対に他人に知られないという保証はできない。
 なお,相手方がある問題でもあり,本書面においては微妙な問題を含む部分については十分な記載ができないこと,本人確認が必ずしも十分ではない電話による問い合わせには必ずしも詳細を告げることができない場合があることを予めご了承いただきたい。


 申込手続を了する期限は,平成22年10月末日(必着)とする。手続の迅速を要することもあり,期限を過ぎてされた申込は原則として受け付けない。なお,現在のところ原告(依頼者)の2次募集は予定していない。
 以上